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秋真っ盛りの北岳

1999.10.11
 去年は10月3日に北岳に登った。そのときにはやや紅葉には手遅れかというような状態だった。そこで今年は紅葉10日遅れと見て、10月11日に北岳に向かった。

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蒼き渓流


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静かなる流れ

広河原へ

 北岳の登山口は芦安村広河原。自宅からは朝霧高原、精進湖道路を抜け、甲府からR20で双葉辺りまで行って芦安村に入ることになる。広河原まではおよそ2時間くらいでだ。この間、有料道路はひとつもないから東京などと比べれば格段に交通アクセスは良い。それに往きも帰りも地獄のような渋滞に巻き込まれることはない。実際、富士宮というところは交通手段を車に限れば、海に行くにしろ山に行くにしろなかなか便利のよいところなのである。

 5時、まだあたりは暗い。広河原に近づくと林道の横に停めてある車が目立ちはじめる。広河原の駐車場はかなり広いがそれでもシーズンには満車になってしまう。そこから溢れた車は道路脇に停めざるを得ないのだが、今日はどうだろう、2〜3km手前から駐車車両がところどころに見える・・・おそらくは昨日の午前中に停めたんだろうね。そこから歩いたのだろうけど、まあ御苦労なことである。
 この時間では流石に駐車場が満車ということはないけれど、それでも夏山シーズにょリも多いかもと思うくらいの入りであった。

 広河原を6時発。早立ちすれば普通は楽勝に山頂までの日帰りができるのだが、今回は撮影が主目的。僕はあえて山頂は目指さず紅葉の具合の良いところを探しながら歩くことにした。

大樺沢を行く

 広河原から北岳へのルートは大きく分けて二つある。ひとつは「大樺沢を遡り二俣を経由して八本歯のコルに達し、北岳の南側、北岳山荘側に登り着くコース」。もうひとつが「林間コースで白根御池まで登り、そこから草スベリと呼ばれるお花畑のルートを登って小太郎尾根に達し、北岳山頂の北側、肩の小屋に登り着く」コースである。両コースは「二俣―白根御池」、「二俣―小太郎山」というような登山道によって途中で結ばれているから、さらに変化のあるコース取りが可能である。

 恐らく二俣あたりで紅葉が真っ盛りだろうと僕は読んだ。大樺沢を遡ること1時間半。まだ朝の光が差し込まない二俣に到着。予想通り紅葉はピーク

 自分も少しづつ標高を上げながら木々に日が当たりはじめるのを迎え撃つように撮影を開始。今日は三脚にストラップを付けてザックとは別に肩から下げるスタイル。ザックの中は主に大判機材が入っている。体の左に35mmカメラを入れたウエストバック、右に三脚ということでバランスも良く、なによりも三脚立てるのが早くていい。で、担ぐよりは少し楽。日が当たれば写材にはことかかず、三脚立てては撮りまた歩いては止まって三脚立てての繰り返し。けれども良いなぁと思うところが物凄い斜面で道幅が狭かったりすることが結構多い。だからなかなか大判をセッティングすることが出来ないのだ。上の小屋を早く出たのであろう、下りの登山者とのすれ違いも多い。35mmでも撮ろうと思ってセッティングしたところへ登山者が通り掛かり、三脚をどけてよけて、またセットしてなんてこともある。

紅葉

 このあたり昨年の10月3日よりもまだ紅葉の進みが遅いという印象を受けるナナカマドの色づきは今一歩で、オレンジ色ややや黒っぽい赤のものがほとんどだ。だから登山者の反応は
「いやぁ〜紅葉よいですねぇ〜」
「いやぁ〜紅葉ダメですねぇ〜」
のふたつにわかれる。
後者はカメラを持ち歩いている登山者に多い。ナナカマドが赤くないということが彼らにとってはもっとも重要なポイントとなるのだ。
 しかしまあ、ナナカマドの紅葉なんて、ナナカマド本人にとってみればどうでもよいことなのに違いない。花が咲かないと子孫が増やせないから困るが、紅葉なんかしなくたって、特に不都合があるとは思われない。だからその紅葉がどうのこうのなんてのは、人間様の我儘なんだろう。
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北岳紅葉

 二俣と小太郎山の中間くらいに少し広い場所がある。休憩にはぴったりの場所だ。ここではセイセイと大判を撮る。なぜか超広角を使いたくなり65mmレンズを使ってのシノゴ撮影。これは35mmレンズで言えば20mmレンズくらいに相当する画角になる。35mmのフォーマットで超広角レンズでで風景を撮影すると広がりはでるけれどもひとつひとつの物体のディテールというものは犠牲になってしまう。しかし大判ではディテールを活かしながらも写っている範囲も広いという欲張りな映像を得ることが可能なのである。しかしこの65mmというレンズはかなり使いにくい。イメージサークルが狭いため隅がケラレ易い、周辺光量が落ちる、ゴーストが入りやすい、不用意にセットするとカメラのベッドやハレ切りの板が写りこむ等々・・・。


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甲斐駒ヶ岳を望む


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堂々仙丈

肩の小屋まで

 本当は今日はこのあたりまでというつもりだった・・・が、
「まだ時間あるし、ここまできたら小太郎尾根まで登って富士山と甲斐駒、仙丈を見ていきたい」
「上の草紅葉の状況は?」
などと気になり、僕はそのままズルズルと登っていった。

 天気は快晴。登り着いた小太郎尾根からは甲斐駒・仙丈が美しく見えた。草紅葉はもう終わりかけで精彩がないのが少々残念。富士山は早月尾根の上
 雲海は無い・・・と思ったのだが、実はこの日は北側から見ると物凄い雲海が広がっていたのだということを奥秩父から富士を眺めた富士山カメラマンから聞いた。改めて写真を見ると 「ああこれが雲海なのであるな」 というのがわかる。左側の厚い雲がそれだ。

 結局、この日は北岳肩の小屋まで。登山シーズンの最期のピークであるこの連休の宿泊者を送りだした小屋では、早くも小屋締めの準備をはじめていた。ドラム缶が小屋の前の広場に溢れている。どうやら布団を干してドラム缶のなかに詰めるらしい。
 小屋でラーメンを食す。ほんとうはカレーライスのほうが欲しかったのだけれど「御飯」はないと言われてしまったのだ。

 さてこのまま下りるのと、登って八本歯から大樺沢を下るのと1時間くらいの時間差なのだが、御池にも寄りたいし・・・などと思ってそのまま下ることにした。天気もピーカン過ぎて、山頂まで登っても敢えて撮らねばならぬというものもなさそうだ。まあこれでも一応北岳登ったということにはしちゃおう。槍の肩通過したって、槍行ってきたっていうじゃないか(^^)

 下山開始、冴えない、冴えないと言いながらも結構撮影枚数は多い。小屋から少し下ったところで、面白いカメラでローアングル撮影をしているおにいさんを発見。カンボワイドだろうか。このおにいさんとは広河原まで前後して歩くことになったのだけど、撮影しながらの歩行では、広河原到着が暗くなりそうな感じで、無駄口叩いているヒマは全然無かったので声を掛けず仕舞い。残念。

下山

 小太郎山からは大樺沢には降りずにそのまま草スベリを下って、御池へ。 御池の小屋はこの春雪崩によて崩壊し、今はプレハブ小屋で営業している。新館には3年ほど前に僕も泊ったことがあるが、建ってからまだそれほど経っていなかったはずで、経営としてはかなりの打撃だろう。破壊された基礎が雪崩の威力を物語っていた

 広河原に下りる急坂は、最後の最後ってこともありちょっと堪えて足はへろへろ。それでも日没後も大樺沢で撮ってた去年よりは早い時間に下山。駐車場の車の数はもう随分減っていた。ここが満員になることはもう今シーズンはないかもしれない。夜叉神のゲートが閉まるのは11月4日。あと3週間で今年の登山シーズンは終わりを告げる。
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岩壁を彩る

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